マイスリー(ゾルピデム)の副作用:服用中の方が知っておくべきこと
日本で非常に多く処方されている睡眠薬の一つ、「マイスリー(一般名:ゾルピデム)」。寝付きの悪さを改善する効果が高い一方で、「長く飲み続けても大丈夫?」「副作用が怖い」といった不安を抱えている方も少なくありません。
本記事では、マイスリーの基本的な仕組みや知っておくべき副作用、長期服用のリスクについて、客観的なデータに基づいて解説します。また、薬と併用して取り組める健康的な睡眠習慣づくりのヒントもお伝えします。
マイスリーとは:非ベンゾジアゼピン系受容体作動薬
マイスリーは「非ベンゾジアゼピン系」に分類される睡眠薬です。
脳内の興奮を抑え、リラックスさせる働きを持つ「GABA」という神経伝達物質の作用を強めることで、強制的に眠気を引き起こします。特に「超短時間作用型」と呼ばれ、服用後すぐに効果が現れ、数時間で体から抜けていくため、主に「寝付きが悪い(入眠障害)」という悩みに対して処方されます。
主な副作用と発生頻度(添付文書データ)
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開している添付文書によると、マイスリーの主な副作用として以下が報告されています [1]。
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ふらつき・めまい 薬が効き始めた後や、夜中にトイレに起きた際に、足元がふらついて転倒するリスクがあります。特に高齢者では注意が必要です。
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翌日の眠気(持ち越し効果) 作用時間が短い薬ですが、体質や服用量によっては翌朝まで眠気やだるさが残ることがあります。添付文書では、眠気や注意力・集中力・反射運動能力の低下が翌朝以後に及ぶことがあるため、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事しないよう注意することとされています。また、飲酒との併用は中枢神経抑制作用を強めるため、できるだけ控えてください。
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もうろう状態・睡眠随伴症状(添付文書の「警告」) 服用後に、もうろう状態や睡眠随伴症状(夢遊症状等)があらわれることがあります。入眠までの、あるいは中途覚醒時の出来事を記憶していないことがあり、十分に覚醒しないまま運転や食事などを行ったという報告、さらに重篤な自傷・他傷行為や事故の報告もあります。添付文書では、こうした症状があらわれた場合に投与を中止するなど適切な処置を行うこととされています。自己判断で次の服用を続けず、すぐに処方医へご連絡ください。
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健忘(一過性前向性健忘) 薬を飲んでから眠りにつくまでの間や、夜中に目が覚めたときの出来事を覚えていない(記憶がない)という症状が起こることがあります。
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頭痛、倦怠感 ※これらは一部であり、体調に異変を感じた場合は、自己判断せず、必ず処方医にご相談ください。
長期服用のリスク(耐性、依存性、反跳性不眠)
マイスリーを含むこの系統の睡眠薬において、長期間漫然と服用を続けることにはいくつかのリスクがあるとされています [2]。
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効果の減弱(耐性) 診療ガイドラインでは、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬はベンゾジアゼピン系に比べて耐性が形成されにくいとされています [2]。ただし「効きにくくなった」と感じても、自己判断で量を増やすことは避け、必ず処方医にご相談ください。添付文書では1日10mgを超えないこととされており、高齢者では1回5mgから開始します。
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依存性 「薬がないと眠れない」という心理的な依存や、身体的な依存が生じる可能性があります。
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反跳性不眠(リバウンド) 薬の服用を急にやめると、服用する前よりも強い不眠や不安感が現れることがあります。
「睡眠薬をやめたい」「睡眠薬をやめた方がいいのでは」と不安に感じる方もいらっしゃいますが、自己判断で急に薬を中断するのは大変危険です。
ルネスタとの比較(同系統の違い)
マイスリーとよく比較される薬に「ルネスタ(一般名:エスゾピクロン)」があります。どちらも非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬ですが、以下の点で異なります。(※デエビゴ・ベルソムラ・マイスリーの副作用比較も参考にしてください)
| 特徴 | マイスリー(ゾルピデム) | ルネスタ(エスゾピクロン) |
|---|---|---|
| 作用時間 | 超短時間型(約2〜3時間で半減) | 超短時間型(約5〜6時間で半減) |
| 得意な症状 | 寝付きの悪さ(入眠障害) | 寝付きの悪さ+中途覚醒 |
| 特有の副作用 | 健忘、ふらつき | 苦味(服用後、翌日に口の中に苦味を感じることが多い) |
※どちらの薬が適しているかは、患者様の症状により医師が判断します。
減薬を考えている方へ
「そろそろ薬を減らしたい」「睡眠薬に頼らず眠りたい」と考えた場合、最も重要なのは必ず医師の指導のもとで計画的に行うことです。
減薬は、医師と相談しながら、薬の量を少しずつ減らしたり、飲む間隔を空けたりして、数週間から数ヶ月かけて慎重に進める必要があります。決して自己判断で「今日から飲むのをやめる」といったことはしないでください。
薬と併せてできる生活改善
減薬を目指す過程や、薬の効果をより高めるためには、生活習慣の見直しを併せて行うことも選択肢の一つです。「不眠のための認知行動療法(CBT-I)」の技法は、健康的な睡眠習慣づくりに非常に有効です。
- 刺激制御法:ベッドを「眠れないと悩む場所」ではなく「眠る場所」として脳に再学習させるため、眠れない時は思い切ってベッドから出ます。
- 睡眠制限法:ベッドに横たわっている時間を必要最小限にし、睡眠効率を高めます。 最近では、CBT-Iの技法をウェルネスの観点から取り入れたZomniなどの睡眠アプリを活用し、日々の睡眠パターンを記録・改善していくアプローチも注目されています。これらは薬の代わりになるものではありません。診療ガイドラインでは、不眠の治療において薬物療法と並行して、できるだけ早期から睡眠衛生指導や認知行動療法などの心理・行動的介入を行うことが推奨されています [2]。Zomniは医療機器ではなく、CBT-Iの原則に基づいた睡眠習慣づくりを支えるウェルネスアプリであり、診断や治療、服薬の調整は行いません。
よくある質問
Q: Yahoo!知恵袋や5ch(旧2ch)などで「睡眠薬が効かなくなる」「悪夢を見る」という口コミを見ましたが本当ですか?
A: ネット上の掲示板や知恵袋には個人のリアルな体験談が多く寄せられていますが、薬の効き方や副作用には大きな個人差があります。特に「睡眠薬への依存」や「デエビゴの悪夢」についての悩みは2026年現在も多く議論されています。ネットの口コミだけで自己判断せず、まずは処方医にご相談ください。睡眠習慣の記録・見直しを併せて行う場合は、CBT-Iの原則に基づいたウェルネスアプリ(Zomniなど)が補助になりますが、医療機器ではなく、治療や服薬調整の代わりにはなりません。
Q: マイスリーを飲んでから、スマホを見てもいいですか?
A: 薬を飲んだ後は、すぐに布団に入って寝る準備をしてください。服用後にスマホを見たり家事をしたりすると、健忘(記憶がないまま行動する)や転倒のリスクが高まります。
Q: 睡眠薬をやめるのが怖いです。一生飲み続けてもいいのでしょうか?
A: 不安になるお気持ちはよくわかります。漫然とした長期服用は推奨されていませんが、現在の症状によっては服用の継続が必要な場合もあります。まずは「将来的にどうしていきたいか」を、かかりつけ医にご相談ください。
Q: マイスリーとドリエル(市販薬)の違いは何ですか?
A: マイスリーは医師の処方が必要な医療用医薬品で、脳の働きを鎮めて直接的に眠りを促します。一方、ドリエルは薬局で買える市販薬で、抗ヒスタミン薬の副作用である眠気を利用したものです。ただしドリエルの添付文書は、効能・効果を「一時的な不眠」に限ったうえで、「不眠症の診断を受けた人」「日常的に不眠の人」「妊婦又は妊娠していると思われる人」「15才未満の小児」は服用しないこととしています。マイスリーの代わりに市販薬を使うことはできません。
Q: 市販の睡眠薬と処方薬はどう違いますか?
A: 市販の睡眠薬は一時的な不眠症状の緩和を目的としており、成分は主に抗ヒスタミン薬です。処方薬は医師の診断に基づき、症状に合わせた様々な種類(非ベンゾジアゼピン系、オレキシン受容体拮抗薬など)が処方されます。
Q: マイスリーを10年以上飲んでいますが、減薬は可能ですか?
A: 長期服用からの減薬は可能ですが、急に中止すると離脱症状や反跳性不眠(以前より強い不眠)が起こる危険があります。必ずかかりつけ医にご相談の上、計画的に減薬を進めてください。
参考文献
[1] 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA). マイスリー錠 添付文書. https://www.pmda.go.jp/
[2] 厚生労働科学研究班・日本睡眠学会ワーキンググループ(編). 睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン. 2013. https://www.jssr.jp/data/pdf/suiminyaku-guideline.pdf
[3] 睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会(編). 睡眠障害の対応と治療ガイドライン. じほう.
[4] De Crescenzo, F., et al. (2022). Comparative effects of pharmacological interventions for the acute and long-term management of insomnia disorder in adults: a systematic review and network meta-analysis. The Lancet. DOI: 10.1016/S0140-6736(22)00878-9
※ 免責事項
本記事は情報提供を目的としており、医学的治療や診断に代わるものではありません。
睡眠に関する深刻な悩みがある場合は、かかりつけ医または睡眠専門医にご相談ください。
個人差があり、全ての方に同じ効果があるとは限りません。
薬の服用・減薬・中止については、必ず処方医にご相談ください。



