その睡眠スコア、信頼できますか?
スマートウォッチは「深い睡眠12%」と表示している。指輪型トラッカーは違う数字を出している。枕元で呼吸の音を聞いていただけのアプリは「夜中に4回目が覚めた」と主張する。どれが正しいのでしょうか。
珍しく、この問いにはきちんとした答えがあります。2023年、韓国の研究チームが、市販の睡眠トラッカー11機種を「議論を終わらせる唯一のテスト」にかけました。睡眠検査室で一晩、睡眠ポリグラフ検査(PSG)——脳波・眼球運動・筋電位から30秒エポックごとに睡眠段階を判定する医学的なゴールドスタンダード——と同時に記録を取ったのです。結果は査読付き学術誌『JMIR mHealth and uHealth』に掲載され、どの製品ページよりもはるかに興味深い内容でした。
見事な成績の機種もありました。当てずっぽうと大差ない機種もありました。そして睡眠段階の判定が最も正確だったのは、数万円のスマートウォッチではなく——体に一切触れないスマホアプリでした。
研究はどう行われたか
研究チームは2つの病院の睡眠センターで成人75人を登録しました。参加者はそれぞれ一晩、フル装備の睡眠ポリグラフ検査を受けながら、複数の市販トラッカーで同じ夜を記録しました。11機種を同時に装着することはできないため、参加者は37人と38人の2グループに分かれ、各グループが11機種中8機種を担当。つまり各機種は75人全員ではなく、標本の一部(機種によって22〜75人)で検証されています。
11機種は3つのタイプに分かれます。
- ウェアラブル(装着型): Apple Watch 8、Galaxy Watch 5、Google Pixel Watch、Fitbit Sense 2、Oura Ring 3
- ニアラブル(ベッドサイド型): Amazon Halo Rise、Google Nest Hub 2、Withings Sleep(マット型)
- エアラブル(アプリのみ): Pillow、SleepScore、SleepRoutine
各機種の睡眠段階の出力を、検査室の判定とエポックごとに突き合わせました。中心となる指標はmacro F1。覚醒・浅い睡眠・深い睡眠・レム睡眠の4状態をどれだけ正しく見分けられるかをまとめた数値で、1.0なら完全一致です。
結果:最も正確な睡眠トラッカーは?
| 機種 | タイプ | 睡眠段階の精度(macro F1/一致度の帯) |
|---|---|---|
| SleepRoutine | アプリ | 0.6863 |
| Amazon Halo Rise | ニアラブル | 0.6242 |
| Google Pixel Watch | ウェアラブル | 中程度の一致(moderate) |
| Galaxy Watch 5 | ウェアラブル | 中程度の一致(moderate) |
| Fitbit Sense 2 | ウェアラブル | 中程度の一致(moderate) |
| Apple Watch 8 | ウェアラブル | 弱い一致(fair) |
| Oura Ring 3 | ウェアラブル | 弱い一致(fair) |
| Withings Sleep Mat | ニアラブル | 弱い一致(fair) |
| SleepScore | アプリ | 弱い一致(fair) |
| Google Nest Hub 2 | ニアラブル | わずかな一致(slight) |
| Pillow | アプリ | 0.2588 |
差は歴然です。同じテストで、トップは0.6863、最下位は0.2588でした。統計学で使う一致度の尺度(Cohenのκ)では、Google Pixel Watch・Galaxy Watch 5・Fitbit Sense 2・Amazon Halo Rise・SleepRoutineの5機種が検査室と「中程度」の一致に達した一方、Apple Watch 8・Oura Ring 3・Withingsのマット・SleepScoreは「弱い」一致にとどまり、Google Nest Hub 2とPillowは「わずかな」一致でした。
段階別の記録も2つ知っておく価値があります。深い睡眠の検出は上位機種の中でGoogle Pixel Watchが最良(F1 0.5922)。レム睡眠の検出(0.7596)と覚醒の検出(0.7065)は、いずれもSleepRoutineが首位でした。
Apple Watchの睡眠測定はどこまで正確?
実際に検索されているのはこの質問なので、データからの正直な答えを。この研究でApple Watch 8の睡眠段階判定は「fair(弱い)」の帯にとどまりました。使えないわけではないものの、「moderate」グループには一段届いていません。
その典型的な誤りは、腕装着型の多くに共通するものです。著者らの報告によれば、ウェアラブルは覚醒を主に浅い睡眠として誤分類し、ニアラブルはレム睡眠を浅い睡眠と強く取り違えました。言い換えると——午前3時に身動きせず苛立ちながら目を覚ましているとき、時計はその時間をおそらく「浅い睡眠」として記録しています。眠りに悩む人がいちばん知りたい数字、つまり夜間の覚醒時間こそ、腕時計型が最もぼかしてしまう数字なのです。
Oura・Fitbit・Galaxy・Pixel——スマートウォッチ勢の成績
- Oura Ring 3 — この研究では睡眠段階について同じく「弱い」一致。作りの良い指輪ですが、段階のラベルは「中程度」グループの機種より頻繁に検査室とずれました。
- Fitbit Sense 2とGalaxy Watch 5 — どちらも「中程度」の一致。ウェアラブルとしてはこのテストで最高の帯です。
- Google Pixel Watch — 全体で中程度の一致に加え、上位機種の中では深い睡眠の検出が最も優秀でした。
これらのどれかをお持ちなら、実践的な読み方はどれも同じです。総睡眠時間はいちばん頼れる数字。段階ごとの正確なパーセンテージと覚醒回数には、健全な懐疑心を。(夜ごとの変化の傾向が信頼できるかどうかは、一晩だけのこの研究では答えようがない、もっともな疑問です。)
意外な勝者:ハードウェアを一切使わないアプリ
SleepRoutine——韓国のAsleep社が開発した、ナイトテーブルから呼吸音を解析するスマホアプリ——が、11機種の中で最も高い睡眠段階の精度を記録し、すべての時計と指輪を上回りました。
これは素直に評価に値します。同時に、正直な文脈も必要です。この研究は勝者から独立していませんでした。論文の開示によれば、Asleep社と関係のある著者らがAsleep社の株式やストックオプションを保有しており、SleepRoutineのアルゴリズムは検証が行われた2病院のうち一方のデータで学習されています。著者らは同時に、企業側は研究デザイン・データ収集・解析・執筆のいずれにも関与していないと明記しています。両方とも事実であり得ます——方法論は公開され査読も受けています——が、誰が研究を実施し、誰が勝った技術を作ったのかは、読者が知っておくべきことです。
ポケモンスリープはどうなの?
日本で「スマホだけで睡眠を記録するアプリ」といえばポケモンスリープを思い浮かべる方も多いはず。先に明確にしておくと、ポケモンスリープはこの研究の11機種には含まれておらず、その精度についてこの研究から言えることはありません。
言えるのは方式についての示唆だけです。音や動きからスマホ単体で睡眠を推定するというアプローチ自体は、この研究で音声解析アプリが全ウェアラブルを上回ったことからも、原理的に見込みがあると示されました。ただし精度は実装次第で大きく変わります——同じ「アプリのみ」タイプでも、SleepRoutineの0.6863に対しPillowは0.2588と、首位と最下位が同居しているのがその証拠です。
ほとんどのレビューが飛ばす「注意書き」
機種を買い替える前に、4つの限界を知っておいてください。
- 最高の機種でも検査室との一致は「中程度」止まり。 この研究で「かなりの一致」「ほぼ完全な一致」の帯に達した市販機種はゼロでした。著者らはトラッカーを日常の睡眠モニタリングに有望と位置づけており、睡眠障害の診断ツールとはしていません。
- 参加者75人は全員が韓国の成人で、検査室での一晩のみ。 あなたのマットレスの上で、いびきをかくパートナーや犬の隣でどう動くかは、ここでは検証されていません。
- 機種ごとの標本数に大きな幅があります——Galaxy Watch 5の22人からWithingsマットの75人まで。また2つの病院でデータの収集率にも差がありました。
- アルゴリズムの進化は速い。 この結果は2023年時点のファームウェアとモデルのもの。現行版はどちらの方向にも変わり得ます。
数字を追いかけるほど眠れなくなる?
この研究では測れない、もっと奇妙なリスクがあります。データがあなた自身に与える影響です。Kelly Baronらの研究チームは2017年にこの現象を症例報告として記述し、名前を付けました——オルソソムニア。完璧な睡眠データを追い求めることが、かえって悪い眠りと隣り合わせになっているパターンです。報告された患者たちはスコアを気に病んでベッドで目を覚まし続け、中には自分の体より機器を信じる人もいました。こうした症例を一歩ずつたどり、睡眠外来がどう立て直すのかをオルソソムニアの解説記事でまとめています。
「朝のグラフを見て早く眠れたことは一度もありません」と、Zomniの共同創業者マキシムは言います。「その晩に実際に守ったルールのほうが、役に立ちました」
トラッカーがモチベーションになっているなら、そのまま使い続けてください。でも睡眠スコアの確認がベッドで不安になる理由のひとつになっているなら、数日だけデータから離れてみるのは理にかなった実験です。
測ることと、変えること
この比較全体が立っている境界線はここです。トラッカーは「何が起きたか」を教えてくれますが、今夜起きることを変えてはくれません。慢性的な不眠については、臨床ガイドライン——米国内科学会(ACP、2016年)と米国睡眠医学会(AASM、2021年)——が、睡眠薬より先に不眠症の認知行動療法(CBT-I)を第一選択として推奨しています。睡眠時間帯の調整、刺激制御法、認知的な技法を組み合わせた、構造化された方法です。
これは「方法」についての話なので、アプリについては正確に線を引きます。SleepRoutineは睡眠を測るアプリで、この研究はそれが際立って上手だと示唆しています。ZomniはCBT-Iの原則に基づいた構造化されたセルフケア・プログラムで、まったく別のカテゴリーの道具です。Zomniはこの研究の対象ではなく、これらのガイドラインでも評価されていません。医療機器ではなく、疾患の診断を目的とするものでもありません。一方は「昨夜どう眠ったか」に答え、もう一方は「これからどうするか」という習慣の見直しをサポートします。

Sleep Routine
睡眠トラッキング&スマートアラーム

Zomni
CBT-Iベースの睡眠プログラム
| Sleep Routine | Zomni | |
|---|---|---|
| 目的 | 睡眠を測る | 睡眠習慣の見直しをサポート |
| 方式 | 音声解析による睡眠段階の推定 | CBT-Iの原則に基づいた構造化プログラム |
| 2023年の研究では | 11機種中で最も高い精度 | 対象外 — 別カテゴリーの道具 |
| 毎朝得られるもの | 睡眠段階のグラフ | 今夜のための具体的なプラン |
| ウェアラブル必要? | 不要 | 不要 |
| 対応言語 | 3(英語・日本語・韓国語) | 33 — 日本語を含む |
Zomniは当サイト運営元が開発した自社アプリです。Sleep Routineに関する情報は2023年のJMIR研究と公開中のApp Store掲載情報に基づきます。競合アプリのストアへのリンクは掲載していません。
両者は敵同士ではありませんし、人によっては二者択一ですらありません。片方で測りながら、もう片方で習慣に取り組むこともできます。ただ、今月ひとつだけ変えるなら——そして悩みが「寝つけない・眠り続けられない」なら——ガイドラインが指しているのは方法そのもの、つまり臨床プログラムとして研究されてきたCBT-Iであって、より正確なグラフではありません。
よくある質問
最も正確な睡眠トラッカーは?
2023年に市販11機種を直接比較した検査室での検証研究では、アプリのSleepRoutineが睡眠段階の精度で首位(macro F1 0.6863)となり、Amazon Halo Riseとすべての時計・指輪を上回りました。ただし、この研究と勝者アプリの開発元との関係が開示されている点は押さえておきましょう。
Apple Watchの睡眠記録は頼りになる?
総睡眠時間なら実用的です。睡眠段階については、この研究でApple Watch 8は検査室と「fair(弱い)」の一致にとどまり、多くのウェアラブルと同様、静かな覚醒を浅い睡眠として記録しがちでした。
スマホアプリだけで本当に睡眠を測れる?
はい——それがこの研究のいちばん意外な結果です。装着機器を一切使わない音声解析アプリが、睡眠段階の判定ですべてのウェアラブルを上回りました。マイクによる呼吸解析には実際の科学的裏付けがあります。検査室・標本・ソフトのバージョンに関するお決まりの留保付きで、ですが。
睡眠アプリのおすすめは結局どれ?
目的で決まります。眠りを詳しく記録したいなら、この研究で精度首位だったSleepRoutineのようなトラッカー型。眠りの習慣そのものを見直したいなら、記録より行動に焦点を当てた道具が候補になります。そして不眠が長引いてつらい場合は、アプリではなく心療内科・精神科などの医療機関にご相談ください。2017年以降の症例報告では、トラッカーのデータへの過度なこだわり(オルソソムニア)が一部の人で悪い眠りと結びついていたことも覚えておく価値があります。
参考文献
- Lee, T., et al. (2023). Accuracy of 11 Wearable, Nearable, and Airable Consumer Sleep Trackers: Prospective Multicenter Validation Study. JMIR mHealth and uHealth. DOI: 10.2196/50983
- Qaseem, A., et al. (2016). Management of Chronic Insomnia Disorder in Adults: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians. Annals of Internal Medicine. DOI: 10.7326/M15-2175
- Edinger, J. D., et al. (2021). Behavioral and psychological treatments for chronic insomnia disorder in adults: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline. Journal of Clinical Sleep Medicine. DOI: 10.5664/jcsm.8986
- Baron, K. G., et al. (2017). Orthosomnia: Are Some Patients Taking the Quantified Self Too Far? Journal of Clinical Sleep Medicine. DOI: 10.5664/jcsm.6472
免責事項
本記事は情報提供のみを目的としており、専門的な医学的アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。Zomniは医療機器ではなく、セルフケアを目的としたウェルネスツールであり、疾患の診断・治療・治癒・予防を目的とするものではありません。睡眠の問題が長引く場合や日常生活に支障がある場合は、心療内科・精神科などの医療機関にご相談ください。記載内容は2026年9月時点の公開情報に基づいており、変更される場合があります。




